外科

外科(消化器外科・肛門科・一般外科)

診療内容・特色

当院では消化器外科・肛門科・一般外科領域の疾患を対象として診察を行っております。
胃癌・大腸癌などの悪性腫瘍から、胆石・虫垂炎・鼠経ヘルニアなどの良性疾患、イボ痔・切れ痔などの肛門疾患、ケガ・やけど・巻き爪・魚の目といった一般的な疾患まで幅広い範囲の疾患を対象としております。
手術が必要な症例については定期的に外科カンファレンスを行い、全身状態やリスクを考慮したうえで最適な治療法を確認するとともに、病態に応じて内科医や麻酔科医とも連携し、安全に治療が進められるよう努めております。

施設認定等

外科専門医研修プログラム専門研修連携施設

当院外科は兵庫医科大学病院を基幹施設とした“外科専門研修プログラム”の専門研修連携施設(全36施設)として認定されており、医師として必要な基本的な診療能力だけでなく外科領域の専門的診療能力を習得することが可能です。

内痔核ALTA療法(四段階注射法)認定実施施設

ALTA療法は四段階注射法という独特の手技を用いて投与する為、使用に際しては手技の理解が必要であり、痔治療に精通し “内痔核治療法研究会”の指定する講習会を終了した医師しか使用が認められていません。

NCDデータベース事業 症例登録参加施設

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当院外科では一般社団法人National Clinical Database(NCD)が主催するデータベース事業への手術症例登録に参加しています。
当事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者様に最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。
蓄積されたデータは、専門医申請を行う際の症例実績のエビデンスとして使用されるほか、手術成績からみた医療評価・がん登録のデータベースとして活用されており、国内の多くの施設(大学病院、国公立病院、公的病院、がん診療連携拠点病院等)が参加しています。
surgery_201806_002登録データは秘匿化管理され、個人が特定される事はありません。尚、登録を拒否されることにより、患者様が不利益を被ることはなく登録者と同様の治療が行われます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
※詳しくはNCDのホームページをご覧ください。
http://www.ncd.or.jp/

主な対象疾患

消化器外科

食道癌・胃癌・小腸癌・大腸癌・直腸癌 などの悪性腫瘍
胃ろう管理・胆石症・虫垂炎・大腸憩室炎・腸閉塞・鼠経ヘルニア
消化管穿孔・急性腹症 など

肛門科

痔核(イボ痔)・裂肛(切れ痔)・痔ろう・肛門周囲膿瘍・肛門ポリープ・直腸脱 など

一般外科

外傷・熱傷・褥瘡・巻き爪・魚の目・タコ・イボ・皮膚腫瘍・気胸・中心静脈ポート管理 など

手術

内視鏡・腹腔鏡外科手術

近年の内視鏡外科手術の進歩は著しく、全国的にその数は増加しています。腹部に5~10mm程度の穴を数ケ所開けて、腹腔内を内視鏡で観察しながら手術を行います。手術の傷が小さく出血量も少なくすむため、体への負担が軽減されるだけでなく、入院期間の短縮につながり社会生活への早期復帰が期待できます。
当院では内視鏡外科手術を取り入れており、胆嚢摘出術や鼠経ヘルニアなどの良性疾患だけでなく、胃癌、大腸癌などの悪性疾患、急性虫垂炎や腸閉塞などの急性疾患にも適応を広げております。
内視鏡外科手術には高度な治療技術が必要とされますが、当院は日本内視鏡外科学会技術認定医の資格を有する常勤医が在籍しており、安全に治療を受けていただくことができます。

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開腹手術と腹腔鏡手術の傷の違い(直腸低位前方切除術の場合)

surgery_201806_004開腹手術
surgery_201806_005腹腔鏡手術

ICG蛍光ナビゲーションによる赤外光観察システム

消化器外科手術では腸管の病変部を摘出した後に消化管の吻合を行う必要があります。
消化管吻合に問題がなければ術後5日ほどで食事摂取が可能となりますが、縫合不全を合併した場合 腹膜炎状態となり、絶食期間の延長だけでなく人工肛門造設などの再手術が必要となることもあります。
縫合不全の原因には複数の要因が考えられますがその一つとして消化管の血流不全があげられます。
当院では最先端設備である赤外光(IR)観察システムを導入し、蛍光物質であるICG(インドシアニングリーン)を手術中に投与することで吻合部の血流を評価し、縫合不全の合併率を低下させるよう努めております。

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内痔核(イボ痔)の治療・・・切らずに治すALTA療法

内痔核に対する治療方法は一般的には手術療法であり、非常に治療効果が高く、現在でも多くの施設で行われています。ただし1週間程度の入院期間を必要とすることや、術後の痛み、術後の排便困難をきたす可能性があるなどといった欠点が挙げられます。
そこで近年、手術に替わる新たな治療法として“切らずに治す痔核の治療法”ALTA療法(四段階注射法)が開発され、その効果と安全性が確立されています。
ALTA療法は、注射薬(ジオン注)を痔核内に投与することにより痔核を硬く退縮させる効果があり、手術に比べ痛みが少なく入院期間も短縮でき、社会生活への早期復帰が期待できます。
ALTA療法単独での治療の場合、1泊~3泊の入院で治療可能ですが、全ての痔核に対応が可能なわけではありませんので診察による正確な診断が必要です。
手術が必要な場合にも、出来るだけ切除範囲を小さくするために、根治手術にALTA療法を併用する場合や、外痔核成分のみを切除して内痔核成分にはALTA療法するといった工夫を行っています。

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ALTA療法は四段階注射法という独特の手技を用いて投与する為、使用に際しては手技の理解が必要であり、痔治療に精通し “内痔核治療法研究会”の指定する講習会を終了した医師しか使用が認められていません。
当院は内痔核を切除せずに治療するアルタALTA療法(四段階注射法)の認定実施者が2名在籍しており、認定実施施設となっています。
ALTA実施医療機関 ホームページ:ALTA実施医療機関の紹介

検査

胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査・肛門鏡検査・胃透視・注腸検査
超音波検査・レントゲン撮影・CT撮影(単純・造影)・MRI撮影(単純・造影)

関連施設との連携

当院では、地域の医療機関様方と相互に連携を深め情報を共有し、患者様に対して良質な医療の提供と満足の頂ける地域医療の連携を目的として地域医療連携室を設置いたしております。
治療方針について、他の医療機関へのセカンドオピニオンを希望される場合は、ご遠慮なく主治医にその旨を申し出てください。ご希望の医療機関あてに紹介状を作成し、必要な資料とともにお渡しいたします。

医師紹介

  • 塚本 潔
    塚本 潔(外科部長)
    【卒業年度】
    平成10年
    【専門領域】
    消化器外科(下部消化管外科・内視鏡外科)・肛門科・一般外科
    【認定医・専門医等】
    医学博士
    日本外科学会:認定医/専門医/指導医
    日本消化器内視鏡学会:専門医/指導医
    日本内視鏡外科学会:技術認定医(消化器・一般外科領域(大腸))
    日本消化管学会:胃腸科認定医/専門医/指導医
    日本がん治療認定医機構:がん治療認定医
    内痔核治療法研究会:ALTA療法施行認定医
    日本臨床外科学会会員・日本消化器外科学会会員
    日本大腸肛門病学会会員・日本臨床肛門病学会会員
    近畿外科学会評議員・近畿内視鏡外科研究会世話人
    兵庫医科大学 外科学(下部消化管外科):非常勤講師
    【患者様へのメッセージ】
    平成30年3月まで兵庫医科大学外科学・下部消化管外科講師として勤務しておりましたが、平成30年4月より大久保病院の外科部長として就任させていただくこととなりました。大学では主に大腸がんを専門として診療・研究・手術指導に携わってまいりました。近年、特に消化器外科領域では腹腔鏡手術の普及が進んでおりますが、大学での腹腔鏡手術導入初期から執刀医としての経験を積み、内視鏡外科学会技術認定医の資格を有しております。これまでの経験を活かし、根治性だけではなく、より低侵襲な治療が提供できるよう心がけております。また、胆石症・虫垂炎・憩室炎・鼠経ヘルニアなどの良性疾患についても腹腔鏡手術を取り入れておりますので、患者様一人一人に最適な治療法を選択し提供させていただきます。よろしくお願い致します。
  • 山岸 大介
    山岸 大介(外科医長)
    【卒業年度】
    平成14年
    【専門領域】
    消化器外科(下部消化管外科)・肛門科・一般外科
    【認定医・専門医等】
    医学博士
    日本外科学会:専門医
    内痔核治療法研究会:ALTA療法施行認定医
    日本大腸肛門病学会会員・日本癌治療学会会員
    日本消化器外科学会会員・日本消化器病学会会員・日本消化管学会会員
    【患者様へのメッセージ】
    下部消化管外科を専門領域として、主に大腸癌・直腸癌といった消化管悪性腫瘍の診療に携わってまいりました。
    良性疾患(胆石・ヘルニア・内痔核)、外傷(切傷・打撲・やけど)や急性腹症(胃穿孔・虫垂炎・腹膜炎)などの救急対応についても積極的に取り組み、地域住民の皆様や近隣の先生方の期待に添えるよう頑張ってまいりますので、よろしくお願い致します。
  • 山下 英孝
    山下 英孝(外科医長)
    【卒業年度】
    平成14年
    【専門領域】
    消化器外科(上部消化管外科)・肛門科・一般外科
    【認定医・専門医等】
    日本外科学会会員・日本大腸肛門病学会会員
    日本消化管学会会員・日本臨床外科学会会員
    【患者様へのメッセージ】
    胃癌、食道癌、食道裂孔ヘルニアの手術を中心に行ってまいりましたが、当院では、消化管疾患のみならず、消化管以外の外傷疾患等にも可能な限り対応していきたいと思っております。
    地域医療と地域住民の皆様のために全力を尽くしていきたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。