再生医療について
最近では、山中伸弥教授のiPS細胞が注目されていますが、「ケガや病気、加齢などにより欠損・損傷・機能低下した組織や臓器を、再生能力を有する細胞や組織を体内へ移植することにより、損傷した組織や臓器を再生させ、失われた人体機能を回復させる医療」を再生医療と言います。再生医療には様々な種類がありますが、その1つにPRP療法があります。
PRP療法の歴史
1990年代初め頃より、美容形成領域における「しわ」や「たるみ」を伸ばすアンチエイジングとしてPRP療法は注目され始めました。それが2000年代に入りスポーツ整形外科の分野でも使用されるようになってきました。特に海外で使用されるケースが多く、ヤンキースの田中将大選手やエンゼルスの大谷翔平選手が右肘の靱帯損傷に対する治療としてPRP療法を行ったのは記憶に新しい出来事です。日本では保険が効かないため、PRPの認知度や使用頻度が低かったのですが、2018年に最新医療を紹介するテレビ番組が放送されてから一気に注目が集まっています。
PRP療法とは
PRPとはplatelet-rich plasmaの略で、日本語では多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)と言います。PRPは血液から血小板を濃縮することにより作製し、血小板に含まれる活性の高い成長因子を多く含みます。血小板は、血管が傷ついたとき、傷ついた場所に集まって血を固める働きがあります。その際、血小板から多量の成長因子が放出されます。この成長因子は、傷ついた組織の修復を促します。血小板の放出する成長因子の効果により、組織の修復が早まったり、治りにくい組織の修復が期待されます。この効果を利用する治療方法がPRP療法です。
PRP療法の適応疾患
- 肩腱板損傷
- 野球肘(内側側副靭帯損傷など)
- テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
- ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
- ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
- 変形性膝関節症
- アキレス腱炎
- 足底腱膜炎
- 肉離れ など
大久保病院でのPRP療法の流れ
PRP外来での流れ
治療は日帰りで終わります。
① 患者さまの血液を治療に適した量だけ採取します。
② 血液を遠心分離し、特殊なキットでPRPを作成します。
③ テープ状の麻酔薬で表面麻酔をした後に、PRPを注射器で患部に注射します。
PRPの治療効果
PRP療法は、患者様個人の自然治癒力を利用しているため、その治療効果に個人差があり、治療効果が保証されるわけではありません。また、効果によっては、複数回の治療が必要となることがあります。
治療にかかる費用について
PRP療法は公的保険の対象ではありませんので、当院の所定の施術料をお支払いいただきます。治療にかかる費用は、1回の施術あたり30,800円(税込)が基本料金となります。部位によっては、たくさんのPRPが必要になるため料金が変更になる場合があります。